国民文化研究所



『日本洋学史』宮永 孝著 三修社刊 ¥4,800(税込:¥5,040)

http://www.bk1.co.jp/cgi-bin/srch/srch_detail.cgi?bibid=02449055&aid=ex(別窓で開いてください)

洋学と申しますと、やはりバテレンの妖術と言うことになります。そうじゃないという方もおられますでしょうが、まぁ、それはそれとして。

たとえばですね、当時の排耶書(キリスト教排撃書)なんかを見ますと、「地球儀」ですとか「プリズム」ですとかを使って、「不思議大好きな日本人を幻惑している!」などと糾弾しているわけですね。まぁ、バテレンの妖術とは言っても、それほど人知を絶したものであるわけでもなく、見る人が見れば、「嗚嗟子供だましね」とか「カラクリじゃん」とアッサリと看破されること必至だったわけであります。そもそも、宣教師だって専門の学者ではないわけですから、「じゃぁ、これは一体どういうわけなんだ」とか詰問したら、「ごめん、わかんねぇ」とか「紙の御技です」とかいってごまかすしかないわけです。

そうこうしているうちに、日本ではキリスト教が禁止になり、直接「妖術」を教えてくれる人がいなくなってしまったのですが、中国大陸にはまだまだたくさんおりまして、この人たちが、世界地理書であるとか、暦学書なんかを漢文に翻訳してくれたので、日本人はこの漢訳洋書を経由して、西洋の文物を摂取することが出来たわけです。

ただし、ここで注意していただきたいことは、その内容がどれほど西洋に出自するものであったとしても、漢文で著されている限りにおいてそれは儒学・漢学という既存の学問体系の内側に存していたわけであり、その点で、まだまだ新しい学問体系の到来ということにはなりませんでした。

『解体新書』の訳出という「事件」は洋書を洋書として――すなわち原書で――読むようになったという意味で、全く新たな学問体系――最近のはやりことばで言えば「学知」――を成立させたものとして高く評価すべきものなのであり、これ以降、洋学は蘭学として独立した体系を確立させていくのでありました。……って、なんか『思想と国民文化』みたいだ。
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by kokuminbunka | 2004-07-27 22:39
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だらだら思想研究……国民文化をスノッブかつペダンティックに研究しております。
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